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一次取得者層では、金利が高いとなると、現状の借家の家賃と比較して購買意欲が低下し、なんとなく不動産を購入することがばかばかしいということになって、不動産が動かない。
また金利が低いと他の金融商品の運用益が低下するため、個人、法人の資金がより有利な運用先を探すことになる。
当然、安定した収入の見込める不動産に資金が流れることになる。
ところが現状では超低金利政策の中にあっても、まだ不動産に資金が流れてきていない。
これはデフレ期にあって、不動産価格のキャピタルロスが生じてしまっていることと、バブル崩壊によって、不動産投資に失敗して手痛い目にあった人が多かったからである。
これは、すべての個人消費に言えることであるが好景気、不景気を決定する要因のほとんどは消費者心理からである。
例えば、先行きに不安な要素があれば、所得は消費よりも貯蓄に回ってしまうことになる。
併せて不動産の場合は、身近な人が不動産を購入して失敗した、あるいはそのような事例をマスコミで取り上げているので、不動産購入や不動産投資に資金が回ってこない。
かつてのバブルの頃を逆説的に見れば分かりやすいと思うが、当時は不動産を購入して儲かった話はどこにでも転がっていたし、供給が需要に追いつかずマンションなどは競って買っていた。
実際、当時、不動産は安かったかと言えば、マンションでも年収の10倍、一戸建てなどは15倍くらいが標準的価格であったし、金利はといえば8%まで上がっていた。
現在では新築マンションでも年収の7倍、一戸建てで10倍、さらに金利は2%台なのだから、誰が見たって今のほうが断然有利なのである。
不動産投資に対する金利の影響については、前述したので割愛するが、私の場合は金利の低い時期には、だいたい想定金利を6%程度に設定して長期計画を立てるようにし、金利の低い期間の利ざや(想定金利と現実の金利との差)は利益と考えている。
「不動産投資」の場合、長期保有のほうが平均利回りが高くなる性格を持っている。
したがって、当然、長期的な計画をもって投資するのであるが、あまりに低金利で調達して不動産投資をした場合、金利が上がったときに家賃収入でカバーできなくなる可能性が出てくるのである。
もちろんこのような場合、賃料を利上げに備えて積み立てておけば良いのであるが、人間そんなに強いものではない。
積み立てておいた資金が貯まってくれば再投資してしまったり、生活が賛沢になったりして、なかなか資金のストックに回らず、だいたい利上げされたときに慌ててしまうものなのである。
不動産投資という見方からすると、あまり金利が低いときには、その調達金利をもとに計画を立てないほうが良い。
B金融機関の貸し出し意欲@の場合に似てはいるが、これは「貸し出し意欲」である。
残念ながら、まだまだ低い時期といえる。
金融機関の最優先課題は、不良債権処理とリストラによる経営の健全化である。
いわゆるBIS規制といわれる貸出資金の総量規制があり、金融機関は貸出金額に対して自己資本が8%必要である。
つまり100億円貸し出すには8億円の自己資金か預貯金残高が必要である。
ところが不良債権処理で欠損が生じ、また自己資金にしても持ち株の価格は下落し、かつ決算上の銀行の貸し出し意欲も徐々に回復してきた利益を確保させるために保有株を売るなどしているために、自己資本不足で貸そうにも貸せない状況である。
したがって、現状は金融機関の貸し出し意欲は非常に低い時期といえる。
しかし、この状況は一時的なものであると私は考えている。
現在、一般的な住宅ローンやアパートローンの貸出金利は、 2%台である。
確かに超低金利であるが、一般から集めている預貯金の金利は、 0.数%、公定歩合は0.5%と低く、金融機関は利ざやで、ある程度収益が向上している。
不良債権の償却がなければ、史上空前の黒字が出ているところである。
一般的な見方ではないかもしれないが、私はこの現象を仕組まれた不良債権処理の方法と考えている。
つまり、不良債権の損失分を国の財政から支出すると世論が黙っていないから、わざとずるずると景気不安の名目で公定歩合を引き下げて、金融機関に体力をつけさせている、と思っている。
大蔵省も日銀も、そう簡単に「住専」のように「都市銀行」はつぶせないから必死である。
この不良債権の問題は、都市銀行から地方銀行、第2地方銀行まで続き、さらには生命保険業界にまで発展する可能性がある。
したがって、しばらくは不良債権問題は舞台は変わっても長引く可能性があり、この超低金利政策は続行される可能性は高い。
もちろん、この低金利はどんな理由であっても、ありがたいことには違いない。
しかし、できれば一刻も早く、金融機関が体力を取り戻し、貸し出し意欲を持っていただきたいものである。
C税制(抑制されている不動産価格)さて、以上見てきたように、 「需要」と「供給」、そして「政策的要因」の3つの方向を頭に入れて不動産を見直していただきたい。
多分、今までの不動産に対する見方が変わったのではないだろうか。
新聞を読むとき、ニュース番組を見るときなどは、この現象がどのように不動産に影響を与えるのだろうか、など予測すると、けっこう楽しいものである。
また、単純に、公示価格の発表されたデータをもとに、不動産価格がどうのという解説を平気でする人がいるが、いかにも滑稽で見ていて楽しいものである。
一般に、不動産投資は難しいと感じる人が多い。
しかし理論と、その見方さえ分かってしまえば不動産はよい投資となり得るし、社会性のある投資であるということができる。
ただ残念なことは、不動産業界に専門家を育てる基盤がないせいか、一般の人たちから不動産投資は、大きく誤解されている。
また、投資でなくとも不動産は怖いものだと思っている人も非常に多い。
それは過去において成功する人が少ないことと失敗する人が多いこと、そして古い言い方ではあるが、悪徳業者に編されることが多いこと、などからくるのではないだろうか。
現在は、私のような現場に密接に従事する不動産コンサルタントの数も増えつつあるし、むしろ我々専門家が入った不動産投資のほうが失敗する可能性は非常に低くなっている。
仮に、万一、失敗したとしても、致命傷になるような失敗はあり得ないのである。
我々、プロのコンサルタントというものは無謀な投資は行わないし、アマチュア投資家との歴然たる違いは、リスク回避ができないような投資をすることがないことである。
さて、ここまで読んで、現状の不動産価格の動向と本書の解説とに矛盾があることに気づかれた方は多いと思う。
つまり現状の不動産価格は、前記の要因からすれば、異常に安くなりすぎているのである。
すべての方向性が不動産に有利な方向性であるのに、まったく市場は反対の方向に進んでいるのである。
私の個人的な見解を述べさせていただければ、現状の不動産はあらゆる要因によって不当に価格が低めに抑制されているのであって、日本が正常な経済に戻ることができた時点で、その価格調整は行われる、と考えている。
つまり、現在は十分安く不動産を仕入れることができ、低金利の恩恵を十分受けることができ、かつ経済が回復した時点でキャピタルゲイン(譲渡益)も狙えるのだ。
ぜひ、賢明な読者にはこんな時期だからこそ、怖がらずに不動産投資について考えていただき、人生をエンジョイしていただきたい。
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